10月20日、ついに1ドル=150円にまで円安が進みました。為替介入により、150円になったのは一時的でしたが、今後、1ドル=160円、170円とさらに円安が進むことも懸念されます。
- 労働力の流出
- 輸入品の高騰
- インフレ
円安によって上記のようなことが懸念されますが、実は、不動産市場にとっても円安は決して無縁ではありません。価格が高騰している日本の不動産に、円安はどのような影響を与えるのでしょうか?
円安によって不動産価格が高騰する?
「円安」と聞くと、ネガティブな感覚を覚える方も少ないことと思います。しかし、不動産を所有している方にとって、円安は決して悪い面だけではあません。
新築物件価格の高騰
住宅を建てるための資材・設備の中には、海外から輸入しているものも多くあります。新型コロナウイルスの感染拡大やロシア・ウクライナ情勢によって引き起こされた「木材の不足・高騰=ウッドショック」に加え、円安によって建材価格の高騰はさらに進行するものと考えられます。
中古不動産の価格も、新築価格の影響を受けるものです。新築高騰によって買い控えが起これば、中古不動産に需要が流れ価格が高騰する可能性もあるでしょう。
海外投資家の「爆買い」も
高騰する可能性があるのは、新築物件だけではありません。海外投資家からすれば、日本の不動産は今、買い時です。
そもそも、日本の不動産は他の先進国と比較して安価。円安でさらにそれが助長されたことにより、海外投資家による日本の不動産の「爆買い」もみられます。
不動産の価格は需要と供給のバランスによって決まるため、海外投資家の爆買いで需要が伸びれば、不動産価格はさらに高騰する可能性があります。
今後、不動産価格が下がる可能性も
円安によって不動産価格が高騰する可能性はあるものの、それは一時的かつ局所的である可能性も否めません。
住宅ローン金利上昇で不動産の流通数が減る恐れも
円安は、米国など諸外国と日本の金利差が主な要因です。米国は、急激に進んだインフレを抑制するために金利を上げています。その一方で、日本はいまだ粘り強く金融緩和を継続しており、両国の金利差が拡大しているのです。
米国の金利水準の影響をうける日本の住宅ローンの固定金利は、すでに上昇傾向にあります。変動金利についても、円安に耐えきれず金融引き締めに舵を切れば上昇するでしょう。
住宅ローンの金利水準は、不動産の購買意欲に直結するものです。これまでの不動産価格高騰は「史上最低」ともいえる金利水準があったからこそ。住宅ローン金利が上昇に転じれば、不動産流通数が減少し、不動産価格が下がる可能性もあります。
海外投資家が好むエリアは限られる
円安によって今、日本の不動産は海外投投資家の目に非常に魅力的に写っているはずです。しかし、外国人が好むエリアは、東京都心や大阪、京都など限定的。その中でも、投資対象は収益物件です。
つまり、海外投資家の爆買いによって価格が上がる可能性があるのは一部の不動産に限られるものと考えられます。
円安バブルが崩壊することも懸念される
歴史的な円安に際して、日本の不動産は注目されています。しかし、円安が解消されたら、金融商品のように、今度は利益確定のための売却が急増する可能性があります。
先述通り、不動産の価格は需要と供給のバランスによって決まります。供給が増え、需要が減れば、不動産価格は下がるというのが市場の原理です。
今後ますます不動産市場の“二極化”が進むか
不動産価格は現在、高騰傾向にあります。円安によって、さらにこれが加速するエリア・物件がある一方で、長期的にみれば価格が下がる不動産もあるものと推測されます。人口減少が始まっている日本において「売れる不動産」「売れない不動産」の二極化は今後どんどん進行するはずです。
全国的、国際的に経済情勢の過渡期ともいえる今、お手持ちの不動産の売り時をあらためて考えてみましょう。査定や売却を検討されている方は、どうぞお気軽に弊社までご相談ください。